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導入事例

株式会社ホシケン 様

創業120年の老舗企業が進める業務改革

卸売業群馬業務効率化

会社名 株式会社ホシケン
業種 インテリア卸売業
事業内容 インテリア商材の卸販売
従業員数 100名
所在地 〒371-0016 群馬県前橋市城東町5-657-18
URL https://www.hoshiken.com/

株式会社ホシケン(以下、ホシケン)は、1905年(明治38年)創業のインテリア総合商社として、壁装材・床材・ブラインドなど多彩な商材を取り扱い、地域の内装業者2,000社以上と信頼を築いてきました。北関東7カ所に展開するジャストインタイム対応の倉庫や、主要メーカーの見本帳を集めたギャラリーを通じて、お客様のインテリアプランを多角的に支援しています。

創業から120年、企業理念である「誠実」を礎に歩み続け、130年という新たな節目に向け、未来への挑戦を続けています。
ホシケンは1995年に販売管理システムのオープン化を実現し、30年という長年に渡り販売管理システムを利用しています。卸売業として要であるジャストインタイムの物流を実現するため、受発注業務の効率化に繋げています。

具体的な活用方法や効果について、代表取締役社長の星野貴洋氏、専務取締役の直江正博氏、総務部チーフマネージャーの桑子真由美氏にお話を伺いました。

背景

「紙が当たり前」を疑った修業時代の気づき

まずホシケンについて教えてください。
星野氏

ホシケンは、当社は群馬県を中心に北関東エリアに7カ所のジャストインタイムの倉庫と営業所を構えてインテリア商材の卸販売を行っています。
明治38年(1905年)3月に創業し、今年でちょうど創業120周年を迎えました。
創業時は和服などを扱う織物業の会社でしたが、昭和初期に内装材の製造業に転換しました。日本の住宅の洋風化に伴うインテリアニーズの高まりとともに事業を発展し、今日に至ります。

販売管理システム導入の背景にどのような課題がありましたか。
星野氏

私がホシケンに入社したのは今から約30年前になります。
入社した当時はすでに現在と同じインテリア卸売の事業を行っておりましたが、多くの業務が手作業・紙に依存しており、受注・発注の伝票処理にもミスが多かったのです。
ホシケンに入社する前に3年間修業した衣料品卸の会社では、受注から出荷までを一貫管理するITシステムを利用しており、非常に衝撃を受けたことを今でも覚えています。
「これを自社にも導入すべきだ」と強く感じ、必死に取り組みました。

そのような中で販売管理システム導入の経緯を教えてください。
星野氏

1994年からシステム設計に着手し、Windows95の登場に合わせて販売管理のオープン化、商品マスタの整備、寸法入力と自動FAX送信の仕組み、メーカーへのEOS発注対応などを段階的に実現しました。
時代と共にシステムをバージョンアップし、業務の効率化を常に図ってきました。直近では、昨年(2024年)に販売管理システムの刷新、販売管理サーバーのハウジングを行いました。他社に先駆けた取り組みが、業務の正確さとスピード、そして競争力の向上につながりました。弊社にとっては販売管理システムが業務の肝であり、なくてはならないものです。販売管理の上で社員全員が仕事をしている、といっても過言ではなく業務インフラと呼べる存在です。

課題

業務の効率化と仕組み化の必要性

業務インフラとしての役割は果たしている一方で、運用面には課題がありました。

総務にシステムを担当してもらっていますが、業務とシステム管理が兼務となっており、月末月初の処理や展示会の運用などに非常に手間がかかっていました。日々の作業に追われる状況が続き、作業負荷が高いことに加え、「絶対に運用を止められない」というストレスもありました。

その結果、業務が属人的となり、担当者の成長を妨げる要因にもなっていました。会社として、人材の成長やモチベーション向上につながる組織づくりを進めるためにも、業務全般の効率化と仕組化が必要でした。

取り組みと効果

取組1.

紙と電卓からの脱却 展示会受注業務のデジタル化

他社に先駆けた取り組みとお話がありましたが、具体的な取り組みはありますでしょうか。
直江氏

展示会での受注業務のデジタル化は大きな効果がありました。
当社では群馬県高崎市・栃木県宇都宮市・茨城県つくば市の3会場で毎年展示会を行っています。展示会では出展メーカー様に目玉商品をご準備頂き、ご来場者様への販売を行って頂いております。
従来は紙の伝票と電卓で展示会業務に当たっていたのですが、この業務をデジタル化し、販売管理と連携することで業務の効率化を図ることが出来ました。

具体的なシステム化の内容を教えてください。
直江氏

システム導入以前は、商品を購入して頂いたら6枚綴りの複写伝票に手書きし、伝票を起こしていました。この手書き業務を廃止し、Microsoft365(PowerApps)で作成した「展示会アプリ」で入力を出来るようにシステム化しました。
入力したデータは販売管理システムに自動連係できるようになり、非常に効率化が出来た取り組みになっています。

導入効果はどれくらいあったのでしょうか。
直江氏

システム化する以前については、伝票の起票に平均1分半、店舗ごとに伝票仕分け・売上集計を行うのに6人がかりで2時間かかっていました。また、集計後に販売管理システムへの入力がありますので、それに1伝票あたり1分程度かかっていました。システムの導入により、手書き業務がなくなり1伝票あたり1分の削減効果となりました。
直近の展示会では1,480伝票でしたので伝票起票だけで1,480分の削減効果がありました。集計業務についても720分削減、販売管理システムへの入力も不要となったので1,480分の削減ができました。

導入前 導入後 削減効果
伝票起票 1分30秒×1,480枚
2,220分
30秒×1,480枚
740分
1,480分
仕分け・集計 720分 0分 720分
販売管理システム入力 1分×1,480枚
1,480分
0分 1,480分
【合計】 4,420分 740分 3,680分

展示会アプリの導入・販売管理システムとの連携で3,680分(=61.3時間)もの削減を実現した

取組2.

「月末月初に余裕が生まれた」入金業務の自動化

ほかに効果が大きかった取り組みはありますか。
総務部 桑子氏

総務部の中で特に負荷が高かったのが、月末・月初の入金業務でした。限られた時間の中でチェックや入力を行う必要があり、ただでさえ忙しい中で、絶対にミスが許されないというプレッシャーも大きかったんです。
そんな中で、入金処理をRPAで自動化する取り組みを始めました。長年「何とかしたい」と思い続けていた業務だったので、実現したときは本当に夢のようでした。今では時間的な削減だけでなく、心理的な負担も大きく軽減され、安心して月末を迎えられるようになりました。

従来の入金業務はどのように行っていたのでしょうか。
桑子氏

これまでは、インターネットバンキングから入金明細をダウンロードし、取引先ごとに内容を確認しながら、手作業で販売管理システムへ入力していました。金額の照合や入金消込もすべて手動だったため、チェック作業に非常に時間がかかり、ミスを防ぐための緊張感も大きかったです。特に月末・月初は処理件数も多くて時間に追われ、業務を終えるだけで精一杯でした。
正直、「またこの時期が来たか…」と毎月ため息をつくような状況でした。

自動化の内容について教えてください。
桑子氏

今回の入金業務の自動化は、「①マッチング処理」と「②自動入力処理」の2つのステップで実現しました。
まずマッチング処理では、インターネットバンキングから取得した入金データと、販売管理システム上の回収予定データを照合し、対応するデータの組み合わせを判定します。その結果は、マッチしたもの・しなかったものとして一覧で出力されます。
次に、マッチング結果のうち、正しく照合された入金データについては、RPAが自動的に販売管理システムへ入力を行います。これにより、人手による入力作業を削減し、スピードと正確性の両立を実現しました。

桑子氏

RPAのマッチング率は8割となっていて、残りの2割はイレギュラー処理として割り切って運用しています。
それでも導入効果は十分で、マッチング業務は、導入前で48時間/月掛かっていたものが、導入後は21時間/月となり、月間27時間の削減、年間にして324時間の削減効果を生んでいます。
入金入力の自動化については、導入前に9.5時間/月だったものが、導入後は3時間/月となりました。こちらは月間6.5時間の削減、年間にして78時間の削減効果となりました。特に月初の時間が削減できたことが大きく、月初の1時間削減は他の1時間と価値が違うと感じています。これは属人化の解消・仕組化にもつながっており、業務の引継ぎを見据えた上でも絶対に実現したいと思っていました。

導入前 導入後 月間削減効果 年間削減効果
STEP1
マッチング
48時間/月 21時間/月 27時間 324時間
STEP2
入金入力
9.5時間/月 3時間/月 6.5時間 78時間
【合計】 57時間/月 24時間/月 33.5時間 402時間

取組3.

請求書の電子化で“紙の束”から、“時間の余白”へ

直近では請求書の電子化(スマート配信Navi)もご採用を頂きましたが、導入背景について教えて頂けますでしょうか。
桑子氏

元々は紙で請求書を発行して、請求書の印刷・折込・封入・郵送という一連の作業を、毎月総務部で対応していました。
とにかく手間と時間がかかる業務で、月末には毎回“プリンタと格闘”していた記憶があります。
先程の入金業務と合わせて請求締~請求書発行までを1日の中で終わらせる必要があり、非常にプレッシャーもかかる業務でした。
電子帳簿保存法の施行もあり、請求書のPDF化とクラウドサービスを利用した自動配信に切り替えました。

実際に電子化を実現して、どのような効果がありましたでしょうか。
桑子氏

印刷・折込・封入作業がなくなったことで、請求書発行にかかる業務時間をおよそ2割ほど削減できました。
時間にすると2時間近く短縮できていると思います。
作業がシンプルになり、人的ミスのリスクも減ったので、精神的にもかなり楽になりました。
業務の正確性と効率、両方に効果が出ています。

電子化に対する社内や取引先の反応はいかがでしたか?
桑子氏

取引先の中にはまだ紙の方がいいというお声もあり、反応は様々でした。特に弊社のお客様は法人だけでなく、職人さんや一人親方もいらっしゃるので、紙の請求書ニーズも依然としてありました。しかし、電子請求スタート時に掲げていた10%の電子化目標に対して、スタート時で17%が電子に移行できました。現在では27.6%が電子化となり、今期目標である30%達成に向けてもう1歩の状況まで来ています。
課題としては、色々なお客様にどのようにスマート配信Naviを使って頂くかであると思っています。
更なる電子化を進めるために、実際にご利用頂く取引先様のお声も頂きながら、改善を行っていきたいと考えています。

今後の展望

空いた時間で更なる業務の改善へ

星野氏

私が卸売業として重視しているのは、営業と配送の「分離」と「専業化」です。
従来の卸売業では、営業が配送まで担うケースも多くありますが、今は営業にも高い専門性が求められています。商品知識や業界動向の理解はもちろん、提案力や課題解決力が必要です。配送に関してもジャストインタイムでの対応や、きめ細かなサービスが求められており、どちらも専任体制で取り組むことが重要だと考えています。直近では、更なる受注業務効率化を目指しLINEから発注出来るサービスの導入と販売管理システムとの連携を予定しています。この仕組みは従来電話やFAXで受けていた取引先様からの(消耗品)発注をLINEを通して行うサービスとなっています。取引先様においては発注時間の制約が無くなり、スマホで簡単に発注が行えるというメリットがあり、当社にとってはデジタルによる受注になるので、受注業務の効率化につながります。
自社の業務効率化を図ることも重要ですが、根幹にあるのはお客様へのサービス向上です。請求書電子化にしても、LINE発注にしてもお客様にサービスをご利用頂くことが前提となるので、如何に多くのお客様に簡単に使って頂くことが出来るかが重要であると考えています。
常にユーザフレンドリーな仕組みの構築をして、お客様へのサービス向上と自社の業務効率化を追求していきたいと思います。
これからもお客様を第一に、販売管理を軸とした業務全体の最適化を進めていきたいと考えています。

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ソリューションサービス事業部 民需ビジネス営業部 流通産業営業課

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